やっと読み終わりました。ああ、しんど! ストーリー的には、良い歳をした爺さん婆さんが「色恋」にうつつ。 難しい言葉の羅列でゴマカシていますが、超ミーハーな話です。 他に考えることないの?コイツらってなって、投げ出したくなる。 むっつかしいことが、ダラダラと「嫌がらせ」のように書かれていますが、すべてはカムフラージュでしょ。 それに「禁色」ってタイトル、全然関係ないし……。 ということで「メタファー小説」なのでした。 前の記事の、 『母親の愛情つて全く大へんなもんだ』とその醜さのためにつひぞ実母に愛されなかった俊輔は考えた。 この「醜さ」こそが最大のポイントと書きました。 もしかして……と思わせたのが、北斎のこの絵。「羅漢」です。 背中のアップです。 「せむし」を表現している?と疑った。 そして、肌の色や髪が東洋人っぽくない。 せむし=せ・うし=せ・附子=せ・ふす=ぜうす キリストのこと? いろいろググっていたら、偶然でしょうが「旧約聖書」のイエスは、白人ではなく、そして「せむし」であったと書いてあるらしい。 「せむし」といえば「ノートルダム」です。 こちらをググりました。 主人公のカジモドは、親に捨てられる。 えっ?? 「禁色」の檜俊輔に結びついたのです。 檜俊輔、文豪、66歳。 彼の「醜さ」の意味は「くる病」ではないか。 関節痛という持病も当てはまる。 そういう前提で読むとすべてが納得できるのです。 それとね、やっぱり「源氏物語」がスカシで入っている。 どうゆうわけか「火事」がところどころに出て来ます。 「源氏物語」では「柏木」が「火事」です。 「柏」はヒノキ・スギなどの針葉樹を表している。 檜=ヒノキ=火の木となる。 「ノートルダム」の主人公は「カジモド」。 俊輔の醜さについては、いろいろな表現が出て来ます。 具体的なものは、ほとんどが「顔」について。 ただし、さりげなく、講演会の描写で、 秋の最初の寒さの感じられる午後だったので、背中に真綿を入れた老作家の鬱陶しい洋服姿は、講演の世話人たちを怖気づかせた。 あと、俊輔に言わせると、思想は肉体の誇張らしい。 大きな鼻を持った男は、大きな鼻という思想の持ち主であり、ぴくぴく動く耳を持った男は、従ってまた、ぴくぴく動く耳という独創的な思想の持ち主である。 俊輔は自殺し、一千万円の遺産を悠一に残す。 最後、引用します。 一千万円、花が何本買えるだろう、と若者は心に呟いた。(中略)駅の前には二三人の靴磨きがすでに並んでいる。『まづ靴を磨いて……』と悠一は思った。 オシャレは足元からってことですね。 カジモドは、Qussimodo。 発音が「クァジモド」となっているものもある。 クァジモド=足元 「禁色」ですが、 禁=金=かね=下ね=の=下ひ=灰=背 色=情夫=虫が付くの「虫」 禁色=背虫(せむし) 「中の人」は開高健っぽいと書きましたが、当時21歳。 源氏鶏太かなあ……とも思ったけど、 第二十六章の、ゲイの集まりの描写、 なかには新顔もあつた。健ちゃんというのがさうである。 *追記 「中の人」の皮肉と取れる表現が出て来ます。 第三十二章 その彫虫の小技を、世間では刻苦勉励と呼びなした。 *彫虫の小技=細かい部分の技巧にこだわって 飾っただけの内容のない詩文のこと。 *刻苦勉励=心身を苦しめて仕事や勉学に励むこと。 侮蔑と美文とは生涯彼についてまわつた痼疾である。
by ukiyo-wasure
| 2019-02-02 16:39
| 詩・文芸
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