人気ブログランキング | 話題のタグを見る

三島「禁色」檜俊輔の「醜さ」とは


やっと読み終わりました。ああ、しんど!


ストーリー的には、良い歳をした爺さん婆さんが「色恋」にうつつ。

難しい言葉の羅列でゴマカシていますが、超ミーハーな話です。

他に考えることないの?コイツらってなって、投げ出したくなる。


むっつかしいことが、ダラダラと「嫌がらせ」のように書かれていますが、すべてはカムフラージュでしょ。


それに「禁色」ってタイトル、全然関係ないし……。


ということで「メタファー小説」なのでした。


前の記事の、


『母親の愛情つて全く大へんなもんだ』とその醜さのためにつひぞ実母に愛されなかった俊輔は考えた。


この「醜さ」こそが最大のポイントと書きました。


もしかして……と思わせたのが、北斎のこの絵。「羅漢」です。
三島「禁色」檜俊輔の「醜さ」とは_b0230759_15254841.jpg


背中のアップです。
三島「禁色」檜俊輔の「醜さ」とは_b0230759_15255317.jpg



「せむし」を表現している?と疑った。

そして、肌の色や髪が東洋人っぽくない。


せむし=せ・うし=せ・附子=せ・ふす=ぜうす

キリストのこと?


いろいろググっていたら、偶然でしょうが「旧約聖書」のイエスは、白人ではなく、そして「せむし」であったと書いてあるらしい。


「せむし」といえば「ノートルダム」です。

こちらをググりました。

主人公のカジモドは、親に捨てられる。

えっ??

「禁色」の檜俊輔に結びついたのです。


檜俊輔、文豪、66歳。


彼の「醜さ」の意味は「くる病」ではないか。

関節痛という持病も当てはまる。

そういう前提で読むとすべてが納得できるのです。


それとね、やっぱり「源氏物語」がスカシで入っている。


どうゆうわけか「火事」がところどころに出て来ます。

「源氏物語」では「柏木」が「火事」です。


「柏」はヒノキ・スギなどの針葉樹を表している。


  檜=ヒノキ=火の木となる。


「ノートルダム」の主人公はカジモド」


俊輔の醜さについては、いろいろな表現が出て来ます。

具体的なものは、ほとんどが「顔」について。

ただし、さりげなく、講演会の描写で、

秋の最初の寒さの感じられる午後だったので、背中に真綿を入れた老作家の鬱陶しい洋服姿は、講演の世話人たちを怖気づかせた。



あと、俊輔に言わせると、思想は肉体の誇張らしい。


大きな鼻を持った男は、大きな鼻という思想の持ち主であり、ぴくぴく動く耳を持った男は、従ってまた、ぴくぴく動く耳という独創的な思想の持ち主である。


俊輔は自殺し、一千万円の遺産を悠一に残す。


最後、引用します。

一千万円、花が何本買えるだろう、と若者は心に呟いた。(中略)駅の前には二三人の靴磨きがすでに並んでいる。『まづ靴を磨いて……』と悠一は思った。



オシャレは足元からってことですね。



カジモドは、Qussimodo。

発音が「クァジモド」となっているものもある。


  クァジモド=足元


「禁色」ですが、

=金=かね=下ね=の=下ひ=灰=

=情夫=虫が付くの「虫」



  禁色=背虫(せむし)


  

「中の人」は開高健っぽいと書きましたが、当時21歳。

源氏鶏太かなあ……とも思ったけど、

第二十六章の、ゲイの集まりの描写、


 なかには新顔もあつた。健ちゃんというのがさうである。






*追記


「中の人」の皮肉取れる表現が出て来ます。


第三十二章


その彫虫の小技を、世間では刻苦勉励と呼びなした。


*彫虫の小技=細かい部分の技巧にこだわって
       飾っただけの内容のない詩文のこと。


*刻苦勉励=心身を苦しめて仕事や勉学に励むこと。





侮蔑と美文とは生涯彼についてまわつた痼疾である。













 







by ukiyo-wasure | 2019-02-02 16:39 | 詩・文芸 | Comments(0)
<< 北斎は「象徴主義」? 三島「禁色」奇々怪々 >>