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三島「音楽」は海峡づくし(38)



38 小鳴門海峡 コナルト


この章はけっこう長い。

消去法で「海峡」も残り少ない。


ラストの一文。


この人口一千万の大都会からどうして麗子の兄を探し出すか、私に何の目算があるわけでもなかったが、思いがけない機会は、やがて向こうからやって来たのである。



「向こうからやって来た」



 御成門=おなりもん=小鳴門



さて、中身はメッチャ難しい。

ので、「こういう解釈」どうでしょう?というレベルですが、



麗子が兄に押さえつけられている。

ふと見ると本棚に「西洋鋏」が。

手に取って枕の下へ。

いざとなったら、兄の頚に突き立てて殺し、自分も死のう……。

しかし、鋏は使われなかった。そのために、



「それを使ったら天国へ行けた筈の鋏を、使わなかったばかりに地獄へ堕ちてしまいました」



「西洋鋏」という表現。引っ掛かる。


シザー=431=合計8

兄=2


2に8を突き立てると10=10国=天国

8を使わなければ2=2獄=地獄


 鋏(8)は私の指の中でカチカチと慄えーー中略ーーそのひそかな、可愛らしい鳴音をききました。


カチカチ=下ち下ち=りり

鋏=8=蜂=「源氏」では「鈴虫」 

リリ…は鈴虫の鳴音?



「鋏をそっとベッドと壁の間へ滑らせました。ーー中略ーー先生、そのとき私は決定的に良心を失い、破廉恥な女になったのですわ」


8=恥を捨ててしまったからでしょう。


こういう、コジツケではございますが、

鋏=8とした解釈から、


 御明算=お鳴「3.6」=お鳴9=お鳴下10=小鳴門



ラストの一文に「目算」もありますし。


この章あたりで、麗子の「臭いセリフ」が鼻についてくる。


例の「一人称のお約束」で、「知らぬは主人公ばかり」を疑いたくなって来るのでした。


by ukiyo-wasure | 2019-01-29 12:03 | 詩・文芸 | Comments(0)
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