「全集6」読了しました。 仕掛けのオモシロいものが結構ありました。 それらは後で書きます。 今読み終わった「花火」。 1953年、昭和28年「改造」に発表。 河合という大学生が、夏休みのバイトをさがしている。 友だちと入った飲み屋で、偶然に「瓜二つ」の男と逢う。 この男が、「両国の花火」の日、料亭「きく亭」でのバイトを紹介する。 7月の18日です。 そっくりの男がいうには、岩崎という大臣が来るので、その顔をじっと見つめれば、ご祝儀がたっぷり貰えるという話。 ご祝儀は、二人で山分けということになる。 当日、言われた通りにする。 岩崎が到着。河合が車のドアを開ける。 河合の顔を見た岩崎の様子、引用します。 しかしこの時ほど、僕は人間の顔が、「色を失ふ」といふ感じにぴったりした変化を起したところをまだ見たことがない。恐怖が彼の顔を一瞬のうちに染めたのである。 ーー中略ーー 大臣が恐怖のあまり、却って僕へ襲いかかってくるのではないかという危惧を抱いたほどである。 この後、岩崎は、河合の傘の中に入り、よそよそしく玄関へ送られて行く。口はきかない。 花火がはじまり、亭内で二度、河合は岩崎と顔を合わせます。 二度目は、逆にじーっと見られる。 最後に、芸妓から祝儀の入った「分厚い」封筒を渡される。 そっくりの男と会って、祝儀を山分け。 「岩崎が、河合を自分を間違えたのさ」とソックリ男は言う。 真相は聞き出さずに河合は男と別れる。 三島自身の解説では、 〈ごく簡単な恐怖小説の技巧を用ひ「他人の空似」といふ近代小説家の最も避ける古くさい偶然の設定をわざと施し、その中で、花火の花やかさのかげに蒼ざめる権力者の顔といふ、一瞬の政治的クロッキーを描こうとした短編である〉 「政治的クロッキー」とは、いったい何ですか? これは、迷いました。 では、題名の「花火」です。 花火=871 岩崎は大臣、場所が料亭です。 単純に考えて「隠し子」かなあってなる。 871=23456が欠けている。 欠く45、32、クルッ1=隠し子、見に来る日 *サイコロの1がクルッ=6 でもね、恐怖の顔に引っ掛かった。 「隠し子」では、辻褄が合わない。 ソックリさんが代役する必要もないし……。 で、定番の読み方、 「欠き」=「書き」だとどうなるか。 45=死児 あとは同じ。 「死児、見に来る日」書き 「両国の川開き」今の「隅田川の花火大会」は、流行病等で亡くなった人の供養が目的だったそうです。 つまり、亡くなった子に会いに来るのが目的。 そういう設定での催しだと思います。 当然、本人(幽霊)とは思っていない。 だけど、あまりにソックリだったから「恐怖」の顔になったのでは。 年齢的に、戦死した息子かなあ。 河合じゃない方の男が、前にバイトをしたときビックリされたのでしょう。 今年は、何もせずに、祝儀の半額をゲット! ……じゃないかと思います。 皆様、読んでみてください。
by ukiyo-wasure
| 2018-11-25 22:48
| 詩・文芸
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