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芥川「玄鶴山房」お芳と重吉はデキていた?


これは難しい。

まだはっきりは解読できていません。

一読して、タイトルの意味が先に解りました。


「玄」は、東西南北の「北」を表します。玄武です。


玄鶴山房=北欠く三方=東南西


これは、動物なら、竜雀虎

色なら、青赤白



小説の内容は、家族のゴタゴタ

主人の玄鶴さんは結核で寝ている。

妻の「お鳥」も腰が立たない病気。

娘のお鈴がいて、婿養子の重吉小学生の息子の武夫が家族。

女中のお松看護婦の甲野が一緒に暮らしている。

ここに、かつては住み込みの女中だったが、玄鶴が愛人にして、家を出して妾宅に住まわせたお芳が、手伝いに来る事になる。

玄鶴の子である文太郎を連れて来る。

そのために、家庭内の雰囲気がめっちゃ悪くなるのです。

まあ、当然ですね。

この家族と愛人親子の憎しみ合いを面白がり、煽るようにしむけるのが「甲野」です。

彼女は重吉に色目まで使う。

とにかく最悪の性格です。みんな不幸になれ!ってタイプ。

とうとう、玄鶴爺さんが亡くなります。

火葬場のシーンで終るのですが、ひっそりと佇む芳子を、重吉たちの馬車が追い越して行く。

引用します。


「……あの女はこの先どうするでしょう?」

重吉は一本の敷島に火をつけ、出来るだけ冷淡に返事をした。

「さあ、どういうことになるか。……」

彼の従兄弟は黙っていた。

が彼の想像は上総の或海岸の漁師町を描いていた。

それからその漁師町に住まなければならぬお芳親子も。

ーー彼は急に険しい顔をし、いつかさしはじめた日の光の中にもう一度リイプクネヒトを読みはじめた。



はい。重吉がなぜ、お芳の実家がある町の風景を知っているのか。

行った事があるのでしょう。

二人はデキていた。

そう思わせる描写が二カ所ある。


うぬぼれ屋の甲野が、重吉が自分の目を意識して、風呂に入るときでも上半身裸で居る事がなくなったと感じる。

これは、お芳が家に来てからでしょ。

姑のお鳥が「重吉、お前はあたしの娘ーー腰抜けの娘では不足なのかい?」

これも、甲野と馴れ馴れしいからとまわりは見ているけど、本当は「過去の間違い」を暗示している感がある。


ということで、タイトルに戻ります。


玄鶴山房=北欠く三方=東南西=青赤白=三色旗


 三色旗=産褥期


妻の出産直後。とくに第一子のとき。

もっとも浮気の危険度が高いといわれる時期です。

この時、女中と関係した。

義父母は感づいて、舅の愛人として外に出した。

文太郎の父親は重吉かもしれない。

あくまでも想像です。

芥川は、谷崎と違って「あいまい」なんですよね。

興味のある方、そういう前提で読んでみてください。


そうそう、登場人物の中で、お芳さんが一番気だてがいい印象。

重吉が惚れるのも無理ない。



*追記

お芳が、じつは玄鶴の娘なら、すべて辻褄が合う。
玄鶴自身「お鳥」の産褥期に浮気をしたので重吉にも理解をしめした。
いい年をして、電車で愛人宅に通うというのも「娘と孫」に会うためなら納得。
お芳の行為も、「年寄りの旦那」ではなく、じつの父への孝行なら納得。

お鈴が婿を貰ったということは、一人娘の可能性が高い。

武夫は文太郎より一歳くらい上

お鈴とお芳の年齢も近い感じです。

このあたりの設定も、ワザワザの感じがします。



まだまだ暗示的表現が随所にあります。

皆様、解読にチャレンジしてみてください。

芥川の小説は、パズルだと断言しちゃいまーす!


by ukiyo-wasure | 2018-08-26 03:16 | 詩・文芸 | Comments(0)
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