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芥川「煙管」は超難問!


パズルでいうと、超上級編です。

もう文学だか、クイズだか……何やねん!


加賀百万石のお殿様、前田斉広が江戸に参勤しているとき。

純金で剣梅鉢の模様の入った煙管を携帯している。

さすがは加賀だなあ!と誰もが思う。注目する。憧れる。

斉広は気分いいのです。

江戸城には、茶坊主という連中がいたらしい。

悪名高い河内山宗春もその一人。

ずうずうしい河内山、この金煙管をおねだりする。

斉広は太っ腹ですから「やるよ」ってなことに。

そういう自分が、好き!俺ってカッコいい!となる。

斉広の家臣は、登城のたびに金煙管一本をねだられたら堪らないと、銀煙管に変える。

金のときは遠慮していた他の茶坊主たちも、ねだるようになる。

銀でも大変な損失です。

家臣たち、相談の上、「金煙管」と偽って「真鍮」の煙管を持たせる。

河内山がこれを貰う。真鍮でがっかり

その後、再び純金に戻すが、みんな「真鍮」だと思って欲しがらない。

家臣は喜ぶが、斉広は何だか寂しいのでした。



じつに、だから何だ!という話です。


でね、最後にこんな事が書いてある。


古老の伝える所によると、前田家では斉広以後、斉泰も、慶寧も、煙管は皆真鍮のものを用いたそうである。事によると、これは、金無垢の煙管に懲りた斉広が、子孫に遺誡でも垂れた結果かもしれない。



オチ、解りますか。



北斎のナゾナゾに、

「四四しんちゅうの鼠」というのがあり、答えが「煙管」


私は、たまたま、これを知ってピンときました。

でなきゃ、全然解らなかったと思う。


「四四しんちゅうの鼠」「獅子身中の虫」のモジリ。


「獅子身中の虫」とは、たとえば、江戸城に巣食う悪徳茶坊主



 獅子身中の虫=四四しんちゅうの虫


   =代々真鍮の無地

by ukiyo-wasure | 2018-08-19 01:21 | 詩・文芸 | Comments(0)
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