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藤澤清造「刈入れ時」オチはグラビア


「藤澤清造短編集」中、一番長い作品です。


主人公の庄吉くんは印刷所に勤めています。

叔父さんから100円(今の10万くらい?)預かって、叔母さんに送金するために郵便局に行ったら時間外だった。

そのお金で遊んじゃうのです。

庄吉くん、ビールを飲むとダメみたい。気が大きくなるのか、後先考えない。誘惑に負けちゃうのです。

後悔、先に立たず。

埋め合わせのために「お金を落とした」とかでっちあげて、知り合いを回って借金を申し込む。

手を変え品を変え、ガンバルのですがすべてダメ。


最後に、無断欠勤していた会社の社長に頼む。

二つ返事で貸してくれた。

当たり前です。給料から天引きです。


その帰り、またカフェーでビールを飲む。


家に帰ったら、借りたお金が見当たらない!


本当に落としちゃったのでした。ちゃんちゃん。



本当のオチ、行きます。

印刷工というのがヒント。

借金の話ですから「刈入れ」ではなく「借入れ」が正しい。



  刈入れ時=誤植=五色=グラビア



その心は、ビールを飲むとグラッ!気持ちが傾く。



太宰の「斜陽」=「グラサン」を思い出しました。



西村さんの「貫多くんシリーズ」も借金シーンがよく出て来ますが、そっくりです。超面白い!!

ぜひ読んでみてください。

by ukiyo-wasure | 2018-08-05 21:25 | 詩・文芸 | Comments(0)
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