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藤澤清造「豚の悲鳴」ダジャレでしょ


これで理解できました。
藤澤清造さんは、正真正銘の戯作者なんですね。


「豚の悲鳴」というのは、ラストの一文によると、

それは、泣くよりも悲しく、痛ましかった。例えば、縛り首にあわされる豚の悲鳴それにそっくりだった。


戦前、失業者が溢れ返り、一家心中のニュースが毎日のように新聞記事になるような時代です。

またまた、主人公の家に友人がやってきて、不景気な世の中についての会話がある。
幻覚ではなく本物です。

表面的には、世の中を批判した小説のように見える。


が、違うんだなあ、これが。


 豚の悲鳴=断末魔



・初めに出て来るのが、妻との言い争い。
 こんな風にののしる。

「うるさいから、彼方へいけ。」
「分ったら黙ってろ。」

畢竟、「だんま!妻」



・外はどしゃぶり。友人が用事のついでに立ち寄る。

畢竟、「断、待つ間」


・女は男と違って、いざとなれば売春できるという会話。

畢竟、「男、待つ間」


・飢えた男が、店の硝子を割って羊羹を奪って頬張った話。

畢竟、「断、待つ間」

判決(断)を待つ間は、少なくとも食事にありつける。


三島「酸模」、川端「夏の靴」を思い出しました。



「深刻」と見せかけて実はギャグ。深沢七郎の世界と同じですね。


面白いのが、西村賢太さんの解説

最後の部分、引用します。

 この作に清造の、秘めたる左傾への意志を読み取る向きもあるが、それは時代背景と当時の風潮を余りにも意識しすぎた、些か皮相な見解と云うべきであろう。
 無論、清造が心情的にはその方に与する立場にあり、シンパたる姿勢は書簡中にも明記したことは間違いないが、その理論を行動として起こすには、清造と云う作家の内には哀しいかな、古風な戯作者精神の方が勝っていたのである。





by ukiyo-wasure | 2018-08-04 14:42 | 詩・文芸 | Comments(0)
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