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西村賢太さん 「陰雲晴れぬ」は三島「酸模」


三島「酸模(すかんぽ)」についてはこちら。
https://tamegoro.exblog.jp/28315301/


「酸模」は「好かん坊」つまり13歳の三島のことでしょう。

でなきゃ、何でわざわざこんな地味な花をタイトルに持って来るのか。


太宰の「人間失格」のはじめに登場する、



「なんて、いやな子供だ。」


これも「酸模」の主人公、および13歳当時の三島だと思う。



「陰雲晴れぬ」の方ですが、


引越し先のマンションに、外面はいいけど、エレベーターに卑猥な落書きをする中学生のことが出て来る。

こんなことをするのは子どもだろうと、貫多は思うけれど、私は、中学生にしてはマセているなあと思った。

このビミョーさが、西村さんの構成の妙。


タイトルですが、読めないような、一般になじみのない漢語をつかうのが西村さんのパターン。


ふふふっ、ダマされませんよ。


なぜ「暗雲」じゃなく「陰雲」などという言葉をつかうのですか。



陰雲=ヒンクモ=貧苦も

晴れぬ=傘さし=「下さ」さし=しさし=示唆し



  陰雲晴れぬ=貧苦も示唆し



「人間失格」第一の手記にも、飢えなどなど知らない坊ちゃんが描かれています。



*ごくごく普通に考えて、「酸模」は13歳の作品じゃないって思いませんか?

by ukiyo-wasure | 2018-07-27 09:58 | 詩・文芸 | Comments(0)
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