西村賢太さんの文庫本「小銭をかぞえる」に入っている「焼却炉行き赤ん坊」を読みました。 面白い話です。 ヌイグルミにしゃべらせるときは赤ちゃん言葉。 「〜でちゅ」って感じ。 賢太はこれにイライラする。 ある日、帰宅してエレベーターのドアを開けた瞬間、そのヌイグルミが胸に飛びついて来た。 彼女が押し付けて来たのだった。 「馬鹿、びっくりするじゃねえか。どけ」 「お帰んなさい」 女は、改めてぬいぐるみの頭を私の胸元に押しつけようとしてくる。 「よさねえか!早く家に入りやがれ」 この後、言い争いになる。 これ読んだ後に志賀直哉「和解」をパラパラしてたら、第二章。 これも主人公が帰宅した場面です。 「お父ちゃま、お帰り遊ばせ」妻は少し浮ついた調子でこんな事をいって赤児を差しつけて、それを自分に抱かせようとした。自分は何だかむかむかとした。 この後、主人公は超不機嫌になって、妻に邪険な態度を取ります。 西村さんの方、題名でヌイグルミを赤ん坊にたとえているし。 偶然でしょうけど、直後ですからビックリ。 *追記 帰宅した主人公に犬が跳びつくシーンは、ごくありふれたものですが、「劇場」にも登場するのね。 「〜沙希ちゃんが元気な声で、『おかえり』っていうねん。言えるよな? 大きな犬も俺の肩に飛びついてきて、ちょっと肩噛まれるけど、その時は痛み感じへんくらい俺も犬好きになってるから」
by ukiyo-wasure
| 2018-07-21 18:27
| 詩・文芸
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