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芥川「竜(りゆう)」は落語


「地獄変」を読むために図書館で借りました。

全部「トリック小説」だと思う。

芥川「竜(りゆう)」は落語_b0230759_11345412.jpg

いっしょに載っていた「竜」が面白い。


宇治の大納言が、双紙を書くために、市井の者を集めて話をさせる。

トップバッターが陶器造の翁。

途方もなく「鼻の大きな」蔵人の話。

あだ名が「鼻蔵」(はなくら)

この鼻蔵が池の端に「三月三日、竜が出る」という看板をイタズラで立てたことから人々の噂になり、当日は大勢が集まる。
一天にわかにかき曇り、本当に竜が天に昇る。

と、まあ、こんな話を「じつに、たくみに」語る。

大納言、大変満足し、次に登場したのが行脚の法師


この一文で物語は終る。

「何、その方の物語は、池の尾の禅智内供とか申す鼻の長い法師の事じゃ? これは又鼻蔵の後だけに、一段と面白かろう。では早速話してくれい。ーー」



めっちゃ怪しいのは「鼻蔵」です。


 ハナクラ=あなぐら=真っ暗=


これに気がつくと、すべてが氷解。

話し手がやけに流暢なんです。まるで噺家


次の話が「長い鼻の内供」です。


落語は「枕・本題・さげ」の構成です。


長い鼻=棒 で、禅智内供のあだ名は「棒内」と推理。



 ぼうだい=ほむだい=本題


*針小棒大で「志ん生」にもかかっている?



ツッコミを入れますと「また鼻の話か、他にないの?」


「ええ、アタクシどもは、鼻しか……」


タイトルの「竜」ですが、「鼻の話」の「理由」って意味か、もう一つは、ネット検索しましたら、三遊亭鯉遊(りゆう)という噺家がいたらしいのね。

なにしろ昔ですから、よく解りません。


興味のある方、ぜひご確認ください。




ついでに「往生絵巻」

これは解った人、多いと思います。

西を目指す坊さん。西行のことでしょう。

ラスト、松の木の上で飢え死にします。

西行といえば「如月に花(桜)の下」で往生。

花札ですね。


 松の上=二月(如月)=桜の下



こんな感じでいくと、あの「杜子春」も怪しいものです。

題名だけでもネタ本「杜子春伝」の「伝」がないし……。

たとえば「つたない」と読めたりね。













by ukiyo-wasure | 2018-07-05 12:17 | 詩・文芸 | Comments(0)
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