いっしょに載っていた「竜」が面白い。 宇治の大納言が、双紙を書くために、市井の者を集めて話をさせる。 トップバッターが陶器造の翁。 途方もなく「鼻の大きな」蔵人の話。 あだ名が「鼻蔵」(はなくら)。 この鼻蔵が池の端に「三月三日、竜が出る」という看板をイタズラで立てたことから人々の噂になり、当日は大勢が集まる。 一天にわかにかき曇り、本当に竜が天に昇る。 と、まあ、こんな話を「じつに、たくみに」語る。 大納言、大変満足し、次に登場したのが行脚の法師。 この一文で物語は終る。 「何、その方の物語は、池の尾の禅智内供とか申す鼻の長い法師の事じゃ? これは又鼻蔵の後だけに、一段と面白かろう。では早速話してくれい。ーー」 めっちゃ怪しいのは「鼻蔵」です。 ハナクラ=あなぐら=真っ暗=枕 これに気がつくと、すべてが氷解。 話し手がやけに流暢なんです。まるで噺家。 次の話が「長い鼻の内供」です。 落語は「枕・本題・さげ」の構成です。 長い鼻=棒 で、禅智内供のあだ名は「棒内」と推理。 ぼうだい=ほむだい=本題 *針小棒大で「志ん生」にもかかっている? ツッコミを入れますと「また鼻の話か、他にないの?」 「ええ、アタクシどもは、鼻しか……」 タイトルの「竜」ですが、「鼻の話」の「理由」って意味か、もう一つは、ネット検索しましたら、三遊亭鯉遊(りゆう)という噺家がいたらしいのね。 なにしろ昔ですから、よく解りません。 興味のある方、ぜひご確認ください。 ついでに「往生絵巻」。 これは解った人、多いと思います。 西を目指す坊さん。西行のことでしょう。 ラスト、松の木の上で飢え死にします。 西行といえば「如月に花(桜)の下」で往生。 花札ですね。 松の上=二月(如月)=桜の下 こんな感じでいくと、あの「杜子春」も怪しいものです。 題名だけでもネタ本「杜子春伝」の「伝」がないし……。 たとえば「つたない」と読めたりね。
by ukiyo-wasure
| 2018-07-05 12:17
| 詩・文芸
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