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三島「憂国」メッタ斬り!


昭和36年、36歳、代表作です。

だから、読んでみました。

これぞ三島!と納得するために。

「風流夢譚」と同じ雑誌に掲載されました。


昔、映画の方をDVDで見ました。超グロで悪趣味。


ウィキに「好きなように読んでいい」と本人の弁がありますので、心置きなく勝手に解釈させていただきます。


ストーリー等、詳しくはこちら。
https://ja.wikipedia.org/wiki/憂国


まさかの「源氏アイテム」に「憂国」よ、お前もか!!

たとえば置物。

ワザとらしく、

「小さな陶器の犬や兎や栗鼠や熊や狐」

犬=狼。栗鼠=鼠。他はそのまま。

ご理解いただけないと思いますが、「裏源氏」を知っているとピンと来るのです。

スカシ、来てる来てる……てな感じ。

新婦の白い指先を「夕顔」の蕾にたとえたり。



「憂国」という題が、まず超怪しい。

これは、何かをカムフラージュしている怪しさ。


「憂国」=夕刻。逢う魔が時。

「源氏アイテム」の一つに「天邪鬼」があります。


「天邪鬼」の話はいろいろありますが「瓜子姫」がおなじみ。

天邪鬼が瓜子姫を食べちゃって、その皮をかぶって、お嫁に行く話もあるらしい。




「憂国」=うれ・こく=瓜子食う




そうゆう視点で読むと、けっこう当てはまるのです。


二人の中に鬼が入っていると仮定


肉体と魂が別々。



意味深な表現も散見。


戸があくより早く、カーキいろの外套に包まれた中尉の體が、雪の泥濘に重い長靴を踏み入れて、玄関の三和土に立った。


魔法使いか?!



「お食事は?」

 この言葉は実に平淡に家庭的に発せられ、中尉は危ふく錯覚に陥らうとした。


鬼の意識が顔を出し「人食い」を思った?


自分がこの世で見る最後の人の顔、最後の女の顔である。


二人とも鬼で、美しい人間の肉体を借りているからね。



あの喜びは最終のものであり、二度とこの身には返っては来ない。が、思うのに、これからいかに長生きしても、あれほどの歓喜に到達することが二度とないことはほぼ確実で、その思ひは二人とも同じである。


肉体は死ぬ。鬼としては生き続ける。が、これほど美しい肉体に宿ることは不可能だろうってことかと。



自分は今戦場の姿を妻に見せるのだ。



戦場=修羅場。修羅(阿修羅)は鬼



「最後の営み」=最後の人並み


「お供をする」=桃太郎を連想



最後、妻が冷静沈着すぎて、リアリティないし。


二人とも、他者の肉体だから、自刃の場面で最後まで意識ハッキリしているのでしょう。


以上、勝手な感想でした。



*追記

気になった点があります。

切腹のときは正座のイメージなのに、主人公は「あぐら」。

「あぐら」は、風呂に入っているときにもあります。

違和感ありました。

by ukiyo-wasure | 2018-05-24 21:37 | 詩・文芸 | Comments(0)
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