「掌の小説」全作品、解読しました。 すべて、谷崎の作だと思われます。 1935年までは「童謡」にヒントがあります。 それ以後のものは、たぶん「山の音」あたりに入っている気が。 「色彩を持たない〜」の「童謡」の章からの寄り道でしたので、 戻って、「千羽鶴/波千鳥」「山の音」を解読します。 「掌の小説」は122作品ですが、もし、別の誰かの作品が混じっていたらややこしいなあと思っていました。 が、混じりものなし。新潮社は谷崎作だと知っていたんじゃないのかなあ。 途中、一作品だけ、これ違うかもと思ったのが「小切(こぎれ)」でした。 何だかもう、……何これ!! という部分がアチコチにあるのです。 小さいときからの着物の小切を、写真帳のように残している友だちの話が出て、主人公の少女も、母親に「今からでもいいからやって頂戴」という。 聞いていた父親が「いやなことをする。平民のすることじゃない」。 その後の会話文、抜き出します。 「そのお襦袢を縫い直すの? えらいことになりましたね」(母) 「お母さまのお捜しになっているのを見ていると〜」(娘) 「美也子は今でも田山さんにお手紙あげてるの」(母) 「そうね、一月に一度くらい出してます」(娘) 「そのお襦袢を、美也子が着られなくなった時分から〜」(母) わざわざ父親に「平民」と言わせているところがポイント。 「お母さまのお捜しになっている」 全国の平民の皆様、母ちゃんにこんなしゃべり方します? 三島が、太宰の「斜陽」について、華族は「お勝手」と言わないとかなんとかケチをつけたエピソードがあった気が。 これは、逆のパターンで、しかもワザとでしょ。 小切=小片=小便 クサい文章の「手本」ということ。 地の文でも、少女趣味なクサい文章が出て来ます。 タイトルの意味が解らないと、三島のようなことになりそう。 太宰は、裏源氏も谷崎の仕掛けも知っていますから、「斜陽」も、もしかするとメタファーかも……。 *追記 2019.8.21 全部谷崎だろうと書いていますが、今は混じっている気がしています。 「海」は芥川。「かけす」は開高。「月下美人」は龍胆寺とか……
by ukiyo-wasure
| 2018-05-06 22:48
| 詩・文芸
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Comments(4)
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にちり
at 2019-08-29 03:12
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谷崎潤一郎ってそんなに暇な作家だったんですか?
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satouhiroakipalet at 2019-08-30 10:01
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ukiyo-wasure at 2019-08-30 13:03
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ukiyo-wasure at 2019-08-30 20:00
> にちりさん
コメントありがとうございます。 真相はわかりません。あくまでも推理です。 全集を見ると、長生きしたわりに作品が少ない気がします。 「小切」については、谷崎が書いたというより、川端がエア作家と仮定して、すべての作品を「真の作者は誰?」という読みをしました。 「中の人」は何人もいたように思われるので、女性作家かもしれません。 あくまでも「推理」です。
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