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「掌の小説」の「日本人アンナ」アルビノ


「掌の小説」の「日本人アンナ」です。


これは、もう感動いたしました。


ロシアから亡命して来た(と主人公は思っている)美少女が、アンナという名で、弟二人とともに旅回りの楽隊として生活している。
一方で、スリなどもしている。
学生時代の主人公とアンナの、胸キュンな描写があり、それから三、四年後のこと。
銀座の三月の夜、主人公はアンナと再会。
彼女は学生マントを着て少年の格好。


ラストシーン、引用します。

すれ違いざま彼は、
「あ、アンナだ。アンナ」
「アンナじゃない。日本人だよ。」と、少年ははっきり言って、風のように消えてしまった。
「アンナじゃない。日本人だよ。」と、彼がつぶやきながら、ふと背広服の内ポケットに手を入れた。果して財布がない。



一読で、アンナはアルビノではと予想はつきました。

でも確証がなかった。

やっと昨日、解りました。


アルビノ=春日野(かすがの)。歌枕です。


「古今集」に春日野からはじまる歌がいくつかある。

チェックしていたら、またビックリ。


これですね。17番。


 春日野は けふはな焼きそ 若草の
    つまもこもれり 我もこもれり

 
「春日野は けふ」の「はけふ」に着目。

「は今日(けふ)」=「は胸」=「はむな」=「あんな」


さらにビックリは、この歌はアレンジされて「伊勢物語」に登場。


十二「武蔵野は」


 武蔵野は けふはな焼きそ 若草の
    つまもこもれり 我もこもれり

 

どうゆう状況かってゆうと、

昔、男ありけり。人のむすめをぬすみて、武蔵野へ率て行くほどに、ぬす人なりければ国の守にからめられけり。女をば草むらのなかにおきて逃げにけり。道来る人、


「この野はぬす人あなり」


とて火をつけむとす。女わびて〜上記の歌を詠む。



どうです。スゴくないですか?

 

by ukiyo-wasure | 2018-04-18 11:23 | 詩・文芸 | Comments(0)
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