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「海辺のカフカ」の「あゝ荒野」

 
また順番跳びますが、これもツボりましたので先に。

「海辺のカフカ」第13章は、北斎「富嶽三十六景」の以下の絵のことを書いていると思われます。

北斎が「富嶽三十六景」に込めたメッセージは「歌舞伎」です。

「信州諏訪湖」

「海辺のカフカ」の「あゝ荒野」_b0230759_12521933.jpg

 
よく見ると兜の形「壇浦兜軍記~阿古屋(あこや)」を表しています。

海人の小屋=阿古屋。


小説の方。

「あこや」と聞いて、真っ先に浮かぶギャグ、ありませんか。

私は「あゝ荒野」です。村上先生もそうだったみたい。気が合って嬉しいな。


冒頭から引用します。

 「胃を小さくしているんです」と僕は説明する。

ボクサーの減量ね。

大島さんはスピード狂。 大場政男みたいです。

音楽の演奏に関する話。「阿古屋」は三つの楽器を弾かされます。

度々出てくる「家出少年」というワード。

寺山修司「家出のすすめ」

『坑夫』=「幸福論」

ひとりぼっちの主人公=寺山「ひとりぼっちのあなたへ」

よく読めば、もっとあるでしょう。


ラストの言葉、引用します。


「この広くて深い森はすべて君のものだ。便所がどこかなんて君がきめればいいことじゃないか」

いかにも、寺山修司が言いそう。実際に書いてあるもののアレンジかもしれません。

寺山はカリスマでしたね。

オトナになると「あざとさ」が鼻に付きますが。

ドキッとさせる、感情に訴える表現が巧み。

言葉の幻術師です。少年少女はコロッといく。

堂々と適当なことも言っている。

永井荷風が踏切で死んだとか。事実と創作がゴチャゴチャ。

「見てきたようなウソ」を書くのが作家ですから、その点では天才だと思います。




by ukiyo-wasure | 2017-12-04 13:24 | 美術 | Comments(0)
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