深沢七郎の小説をすべて読んで、トリック小説というネーミングをしたわけですが、その後、谷崎や源氏物語、和歌、俳句、村上春樹さんの小説などを読みました。 深沢本を書いた時点では気がつかなかったことにも、今は気づいています。 村上春樹さんの「1Q84」は現実離れしたストーリーで、私は、一章一章が、深沢七郎の小説と一致しているという読みをしました。 そして、きわめて非現実的世界を描いているにも関わらず、「芥川賞」に関する部分だけが、やけにリアリティを持って印象深く残りました。 深沢の小説の中で、最後まで、そして今も解らないのが「笛吹川」です。 題名が「竹田ノロフ人」ですから、文壇の秘密を書いているような感じはいたしました。 暗号のような描写があちこちに出てきます。特に解けないで気になっていたのが以下です。 ねんねんネコの尻へ毛が這い込んで ひッつり出しても ひッつり出してもまた這い込んだ おけいがのろのろと歌っているので家の中にいた惣蔵がその次の歌を、 それを見ておじいやんが鼻たらした と、唄った。 (中略) ソレを見ておばあやんが小便ツンむらかした これが、今解りました。 ねこの尻へ毛が入り込む=「こ」に毛が入って「キ」。ねき=葱。 鼻たらした=鼻 「葱」も「鼻」も芥川龍之介の小説です。 おばあやんが小便ツンむらかした=芥川の「続野人生計事」に出てきます。 かなり意味深でしょ。 芥川賞の秘密を書いているような気がしてなりません。
by ukiyo-wasure
| 2017-10-25 03:21
| 詩・文芸
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