「1Q84」の各章は、深沢七郎の各小説と一致している。 この仮説のもとに、読んでいます。 BOOK3 第23章。 深沢の「花に舞う」です。 どう説明して良いか悩みます。まるで谷崎の小説のように、ちょっとやそっとでは読めない構成になっています。 主人公に知られないように、周りが動いている。それを、主人公から見た視点で書いているのです。 文庫になっていますから、読んだ人も多いでしょう。 題名「花に舞う」は、「花」を「サ化」=「さか」と読みます。 逆から読んで「馬に傘」、「雨降りお月さん」です。 これは「嫁入り」の話でございます。 そんなのどこにも出てこなかったぞという人も多いでしょう。 だから「谷崎風」なのです。 主人公の、ポーッとした若者は、アニキの妹に惚れている。この妹が、アニキの同級生の、東京の楽団員と結婚することになっている。 知らぬは主人公ばかり。妹がいなくなっても「東京に働きに行った」という話を信じ込んでいる。 「1Q84」の方。 そんなわけで、こっちもなかなかスッキリと説明できません。 あくまでも受け身の存在として。いうなれば、深い霧の中をさまよう混乱した無知な脇役として。 そう、これが主人公の立場。 いや、何か物語の中の「馬」を表しているのかも。「スーホの白い馬」か。……まさか「塩原多助」の青? かたちはわかるのに輪郭がつかめない。かたちと輪郭との間にどうやらずれがあるらしい。 月ですね。形は丸いが見え方はいろいろ。 それでね、主人公は傍観者的に状況を語る。読み手はそれを聞かされるだけ。 この主人公がアニキの妹に惚れているということが、物語の中心でもあるのに。 そして時間は刻々と経過していく。態度を保留し様子を見ているような余裕はなかった。 いそがにゃお馬よ 夜が明けよ♪ 彼女は下腹の奥にじわりと温かいものを感じた。とろけるような不思議な深みを持つ温かみだ。 子宮温暖化=地球温暖化。雨降り? それを縁どるように薄く浮かんだオレンジ色の光をそっと優しく押さえる。
これで「馬に傘」。 この章はちょっとモヤモヤ。 あとで解ったら書き加えます。
by ukiyo-wasure
| 2017-09-15 03:19
| 詩・文芸
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