「1Q84」の各章は、深沢七郎の各小説と一致している。 この仮説のもとに、読んでいます。 BOOK3 第18章。 深沢の「いやさか囃子」です。 地方から東京へ出稼ぎに来て、建設現場等で働く人の話。 現場で事故にあって、指が飛ぶ、土砂に埋まって死ぬ。するとね、莫大な保険金が入って田舎の家族は家を新築できたりするのです。 「いやさか」=「忌盛」。死によって盛える。
「1Q84」の方。 「いささかの迷惑ではない」 下線部分が傍点で強調。「いやさか」=「いささか」 『不幸な事態』 あなた方が五体バラバラになろうが 事故 両手をくるりと裏返し、手のひらを上に向けた。 盆踊りのしぐさ? と、そう思って読むと、いかにも「いやさか囃子」と一致するような描写がたくさん出てきます。 が、状況証拠にすぎません。 タイトルの「赤い血」も、事故で指がちぎれて血が出ますから、いかにもでございます。 この章は「行間読み」が必要でした。 「俺だって罪悪感くらいあるさ」と小松は言った。 「何に対する罪悪感ですか?」 小松はそれには答えなかった。 皆さん、コレ、どう読みましたか。 小松は誘拐され、監禁され、「空気さなぎ」の販売をやめることを約束させられます。 経験はありませんが、こんな場合、「脅し」とセットで「口止め料」が支払われると思います。かなりの額の。 この件について「騒ぎ立てないように」と。「いやさか囃子」の場合のように。小松さん、離婚して慰謝料や養育費を支払っているみたいですし。 それは、ナイフで皮膚を切れば本物の赤い血が流れ出す現実の世界になっていた。 ラストのこのフレーズ。言われてみると、深沢の小説は何らかの仕掛けがあったり、ギャグを仕込んだり、別の要素を散らしたモザイクみたいなものが多いのですが、これは完全なリアルを描いていますね。 体験したような描写です。今頃気づきました。
by ukiyo-wasure
| 2017-09-14 10:52
| 詩・文芸
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