おほけなく〜


95番・前大僧正慈円さん。「愚管抄」の著者です。


 おほけなく うき世の民に おほふかな
       わがたつ杣に 墨染の袖


 鑑賞では、

  「僧として天下万民を救おうとする抱負と決意。」


 慈円さんは、関白藤原忠通の子です。いいとこのお坊っちゃまです。それが十一歳で出家している。この歌も、かなり若いときのものとされています。

 歌の内容だけで、百人一首に選ばれてもいい、すばらしい決意でございます。しかーし、声に出して、繰り返し読むと、アレアレ怪しいぞとなるのです。

 「おほけなく」と「おほふかな」や「杣に 墨染の袖」など、やたら同音が多いのね。ラップで韻を踏むような感じでもないし……何で?


 く きよ ふ(う)
    わ す

 色をつけたのは、同音が二つ以上の字です。これだけ重なっています。残った文字を並べます。


  けくきよわつますめて


  けく    武士(公家の反対)
  きよわ   清=西行(義清)は
  つますめて 妻澄めて(澄める=汚れを取り去る)

 「西行は妻を捨て去って出家した」の意でしょう。


 ウィキによると、慈円さんは西行に憧れていたみたいです。

 引用します。
  
【『沙石集』巻五によると、慈円が西行に天台の真言を伝授してほしいと申し出たとき、西行は和歌の心得がなければ真言も得られないと答えた。そこで慈円は和歌を稽古してから再度伝授を願い出たという。】


 深いなあ、歌道。こうなると「愚管抄」も絶対「裏あり」の表現に満ちているでしょう。難しそうで読みたくありませんので、どなたか、かわりに深読みをお願いします。




北斎「乳母が絵解き」はこちら。
https://tamegoro.exblog.jp/28204787/
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by ukiyo-wasure | 2017-05-26 13:25 | 詩・文芸 | Comments(0)
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