山川に〜


 32番・春道列樹さん。「はるみちつらき」とはペンネームみたいな名。経歴未詳だそうです。


  山川に 風のかけたる しがらみは
     流れもあへぬ 紅葉なりけり


 よくあります、落ち葉の季節には水路が詰まる。うーむ、定家先生が後の世に残したい百首に選んだ理由はどこにあるのか。人間社会をたとえているの?

 紅葉といえば、日本一の女たらし業平君の「ちはやぶる〜」です。アレは「戦禍たとふ」の折句で「水くくる」が「鵜」を表しているところが手柄でした。

 山川に 風のかけたる〜も「戦禍」と読める。須弥はシュミセンですから。

  
 山川に     セン
 風のかけたる  
 しがらみは   
 流れもあへぬ  
 紅葉なりけり  ス(紅葉襲の裏は蘇芳)

 「戦禍記す」となります。


 蘇芳色というのは濃く暗い赤で、ウィキによると「今昔物語では凝固しかけた血液の表現にも使われている」そうです。

 そういえば浪曲で、斬られた石松が血だらけで七五郎の家に飛び込んで来たとき「蘇芳の樽を浴びたような」と言っています。

 「山川」という、なんとも気の利かない表現の理由はコレだったのね。だって、普通は「谷川」でしょ。



 
2017.11.12 追記


村上春樹さんの「羊をめぐる冒険」に教えられました。

びっくりです。業平の「ちはやふる」にそっくりですよね。

わざとだったんですね。


下2文字を読むと、

 山川に     わに
 風のかけたる  たる
 しがらみは   みは
 流れもあへぬ  へぬ
 紅葉なりけり  けり

 兄たる身は「へ」抜けり。

  業平=ごうひら
 行平=こうひら

行平は「 ゛」が抜けている。

「へ」=草書の濁点の形か。
「へ」=「上」の意味で、「上抜けり」=「澄む」か。
   

前後の折り句で、しかも後ろは二文字。
これは、超難しいワザでしょ。

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by ukiyo-wasure | 2017-05-19 14:17 | 詩・文芸 | Comments(0)
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