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あらざらむ この世のほかの〜


 和泉式部さんの歌、56番です。この人は、紫式部と同世代で、同じ中宮彰子につかえていたのですね。

 あらざらむ この世のほかの 思ひ出に
     今ひとたびの 逢ふこともがな


 例によって『鑑賞」では

 「死の予感で強まるいちずな恋心」


 あらざらむ=病気が重くて死にそうな状態で、もう一度、あの人に逢いたい!ということですね。

 引っ掛かるのが「この世のほかの思ひ出に」です。普通に考えると「この世の思い出」じゃあございませんか?

 まあいいです。面白いことに、紫式部さんと一緒で「秋の七草」が詠み込まれています。


「秋の七草」といえばすべて、山上憶良の和歌

 萩花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花

がベースです。



あらざらむ病=薬=

この世のほかの月の意で、萩・尾花

思ひ出に和歌「なでしこの とこなつかしき色を見ば もとの垣根を人や尋ねん」

今ひとたびの「また」の意味で藤袴

逢う逢う=アワバナ=女郎花

こともがな「こと」=琴=きん=槿(あさがお)




by ukiyo-wasure | 2017-04-13 16:07 | 詩・文芸 | Comments(0)
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