「源氏物語」の「玉鬘」ですけど。最後の方で光君が女性たちに着物を贈ります。「それぞれに相応しい、似合いそうなもの」を選びます。
末摘花という、人間離れしたご面相の女性がおりまして、この人には「唐草模様」の衣を贈ります。すると「恨み言」の返事がくる。 着てみれば恨みられけり唐衣 返しやりてん袖を濡らして これの解釈が大抵は「着てみれば、姿を見せてくれないアナタが恨めしくなりますから、この衣は涙で濡らした上でお返ししましょう」となっています。 いやいや違うでしょうと、私は言いたい。「唐衣」は「唐草柄の衣」って意味でしょ。そして、鼻がゾウみたいで赤い、まあテングザルみたいな人に「唐草模様」はあんまりでしょ!ぴったし過ぎです、獅子舞じゃないんだから。ホント、光君は冗談が過ぎる。 それで、どういう歌を返したかというと、 かえさんといふにつけても片敷の 夜のころもを思いこそやれ 末摘花さんは、人間離れしたご面相な上に、かつて荒れ果てた屋敷に住んでいた頃は「黒貂のマント」を羽織っていましたからね。マントヒヒみたいだったのです。 私流に解釈します。 「返すとかいうけどさー、初めて会った時は真っ黒の毛皮をはおってヒヒみたいだったから、唐草模様がぴったりと思ったのさ。テヘペロ」 憎らしいねぇ、光君。 紫式部姐さんは、末摘花というキャラクターが好きなんだと思います。他の上品ぶった人たちより活き活きと描いていますから。
by ukiyo-wasure
| 2016-11-20 14:16
| 詩・文芸
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