貧民クラブ

 結成したのでメンバーになりませんか?…冗談です。
 前の記事で浪曲嫌いの文化人の一人に泉鏡花がいると書きましたが。この人の小説に「貧民倶楽部」というのがある。面白い!若い頃に「高野聖」だったと思うけれど、山中で上からヒルが落ちて来るシーンにゾーッとするとともに、描写力がハンパない作家だと思いました。しかし、昔のものですから読みにくいし、読後感がスカッとしないものだからファンにはならなかった。それが今、この「貧民倶楽部」を読んでみたら、アクション映画のようにスカッ。鏡花22歳の作です。
 鏡花はなんと、雲右衛門とタメなんですね。1873年生まれ。誕生日もひと月しか違わない。そんなことはどーでもいいのですが、「貧民倶楽部」は東京の貧民窟、四谷鮫ケ橋に住む貧民と、華族の奥様やご令嬢が登場する話。そりゃあもう悲惨な暮らしをしている訳ですよ貧民の皆さまは。そのあたりの描写は明治に書かれたルポ「最暗黒の東京」を元にしている。私もコレを読みました。米なんかで施されても炊く道具も燃料もないから残飯の方がいい。とか、住まいの様子など、ほぼ同じような描写があります。
 この貧民の中に伝法で美人、緋牡丹のお竜さんみたいな姉御がいて、偽善者の華族の女性たちをギャフンといわせるのです。ギャフンどころじゃないかな、殺人ありですから。
 華族は慈善と称してバザーみたいなことをしている。そこへ乗り込んで、

「お前さん方が人中でツラをさらして、こんな会をしなさるのは、ああ、あの奥さんは情深い感心な御方だと人に謂われたいからであろう。その時は、誰か頂く者がなければなるまい。してみると貰うてしんぜる方がまだ、おめえたちの顔を好くして、名を売ってやる恩人だ。勘定すれば一銭も差引無し、こちとらは鰹節で、お前様方がうめえ汁を吸うといったようなものだ」

 と、見事な啖呵。

 いえね、雲右衛門は鮫ケ橋と並ぶ貧民窟、芝の新網が出身地でもありますし、浪花節組合そのものが新網町で作られていますからね。雲さんが華族の御妃様から和歌を給わったのが、この小説の十数年後。雲が34歳の時です。このニュースを鏡花はどう思ったのでしょう。
 また不思議な事に、あんなに浪曲を毛嫌いしていた鏡花の作品のいくつかが、死後、浪曲になっている。本当に浪曲嫌いだったの?師匠の尾崎紅葉にお追従していたからじゃないの?芸者だった奥さんとの結婚を紅葉に反対されて、紅葉が死んでから結婚していますからね。師匠に逆らえなかったことは確かです。



〈パズルの解説〉またまたスルスルと、こんな感じ。「連番禁止ナンプレ」のルールは、スタンダードなナンプレと同じように1〜9までを一つずつ入れますが、さらに上下左右に連続する数字はNG! 2・3や7・8はダメ! 1・9はOKです。最初の問題盤面は3月9日に。
 

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 ようこそ、論理の森へ。どのパズル誌にも載っていない「連番禁止ナンプレ」。なか見検索できます↓
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by ukiyo-wasure | 2012-03-13 02:09 | 詩・文芸 | Comments(0)
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