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ふたなり

 志ん生師匠は「死」を料理するのが上手い。まるでロバート・ロドリゲスのようです。おぞましい場面はできるだけ想像力を掻き立てない話し振りをする。ヘタな噺家はメリハリなく、どんな場面もリアリティを出せばよいという語り口だから興醒めです。「ラクダ」「黄金餅」それから「ふたなり」。どれも死体が登場するけれど、超オカシイ!
 「ふたなり」というのは両性具有のことです。…枕でこんなことをいうのはヘタな噺家でしょうね。これがサゲなんですから。

 亀エモンというお爺さんと、お亀という年頃の娘が、真っ暗な森の中で出会う。
 娘は、ワケあって首をくくって死のうとしているがくくり方がわからない。で、お爺さんに見本を見せてもらう。
「…そしてな、下の桶を蹴る」とたんに亀爺さん、ブラーン。
 それを見た娘の方は死ぬ気が失せてしまいオサラバ。
 さて、亀爺さんが発見されたとき懐には娘から預った手紙があった。
 役人が読み上げる。
「書置きのこと。亀より。えー、ご両親様に先立つ不幸をかえりみず……ん?この者は何歳じゃ」
「八十二でございます」と村人。
「両親は長生きだな。…かの人と互いに深くいいかわし。…八十二で、やな奴だなあ。ええ…人目を忍ぶ仲となり、ついにオナカに子を宿し。オナカに子を宿し?……むむむ、この者は男子か女子か?!」
「漁師でございます」

 今でもありますね。薫さん、静香さん、純さん。そういえば亀井静香氏と荒川静香さんが結婚したらどうなるの?なんていらぬ心配をしている人もいましたっけ。

       

by ukiyo-wasure | 2011-11-15 00:18 | 落語 | Comments(0)
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