三島由紀夫「殉教」昭和23年の作品です。 寮で暮らす中学生たちの、ちょっと恐い話。 貴族の子が多い学校で、小学校から一緒の子たちがほとんど。 亘理(わたり)という少年だけは、違う学校からやって来た。 彼はマイペースな態度もあって、仲間はずれ状態。 ある事件をキッカケに、魔王と呼ばれるリーダー格の畠山と格闘。 その後二人は「恋人同士」と噂されるほど親密に。 少年たちは普段から、一人を選んで「制裁」を加える遊びをしている。 指名するのが魔王の畠山。 その日の指名は、何と亘理。 高い松の枝にロープをかけて亘理を絞首刑にしようとする。 冗談とも本気ともつかない、異様な雰囲気に。 引用します。 縄が上がった。 少年たちは夥しい鳩の羽搏きと、おどろくほど高いところにある亘理の美しい顔の輝きに怖れをなして、もはやこの怖ろしい殺人の現場に居たたまれずに、思ひ思ひの方向から疎林を一散に逃げ出した。 (中略) かれらの幼ない胸は人殺しをしたという誇りでまだ弾んでいた。 三十分もたって、皆は申し合わせたやうに又そろそろと疎林の中へ入ってきて、肩をすりよせておそるおそる大松の枝をさしのぞいた。 縄がただ揺れていた。縊死者の姿はどこにもみえなかった。 まず、亘理(わたり)という名前。怪しい!! ひとりだけ別の学校から来たとゆうし。 それとね、あらすじに書きませんでしたが、畠山に噛み付くシーンがある。 亘理=渡り=旅芸人のイメージ 噛み付く=歯が強い さらに「殉教」=「巡業」と読むと……。 サーカスのロープ技に、歯で吊り下がる「歯キリ」、首(顎部分)で吊り下がる「首ガケ」があるそうです。 そういえば、見たことありますよね。 ↓こちらに出ています。 畠山くんと仕組んだのでしょう。 だいたい、ホントに死ぬような悪趣味な話は書かないでしょ。 誰が書いたか知りませんが……。
by ukiyo-wasure
| 2018-06-15 00:21
| 詩・文芸
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