人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「かき揚げ」小説


 「細雪」や深沢の「東京のプリンスたち」や、村上春樹さんの「ノルウェイの森」などは、細かい具……「細雪」なら「細菌兵器」ですね、これをつなぎの「衣」にからめて揚げた「かき揚げ」のようなもので。衣がいわば、表のストーリー。


 こういう小説を外国語に翻訳したらどうなるか。

 具は、すべて失われます。

 だって、「女中聞く」が「除虫菊」ですよ!

 「1Q84」というタイトルすら、翻訳されたら意味を失います。

 だから、読み物として面白いかは、衣(つなぎ)次第なのです。

 登場人物の心理や、絶妙なエロや、突拍子もないタトエ……。

 具は何が入っているのか、よくわからないが、サクッとした食感で、油も美味い。衣の食感だけで数十万部も売れるのです。

 日本語のまんまでも、何について書いてあるのか解らないのに、つなぎの衣だけで「細雪」も村上春樹さんの小説も「面白い」そうですから、皆さん、腕の良い料理人だと思います。

 私は、いずれも、小説としてはまったく面白いと思いませんでした。村上春樹さんにいたっては、2.3ページで投げ出していました。ワケワカメだったからです。

 今は、かき揚げをバラバラにし、その具を発見するのがライフワークになってしまいました。

 「細雪」はマーカーと付箋を手に、10回は読んでいるのに、ストーリーは、ほとんど記憶にございません。

 ああ、忘れていました。これら「かき揚げ小説」の原点が「源氏物語」でございまして。これぞ日本の伝統文化と言えなくもないと、最近では思っています。

 
 

by ukiyo-wasure | 2017-08-05 03:48 | 詩・文芸 | Comments(0)
<< 富士には月見草がよく似合う? ... 強い風が吹くとおへそが乾くよ、... >>