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雲の絶え間より、そっと出し

 79番・藤原顕輔さん。

  秋風に たなびく雲の 絶え間より
    もれ出づる月の 影のさやけさ


 秋の夜、雲が切れて月光が射し込む。たいへん風流な情景です。

 崇徳院に奉られた「百首歌」に入っているそうで。ああ、崇徳院か。いろいろと、ありそうだなあという感じ。権力闘争のゴタゴタです。怨念の人ですからねえ。

 歴史はその時々の権力者によって都合の良いように書き変えられます。闇から闇に葬られた悪事をどうやって残すか。

 恋の歌などに託すのです。「秘すれば花」の心です。

 
  秋風に      秋=し
  たなびく雲の   た
  絶え間より    た
  もれ出づる月の  漏=ろ
  影のさやけさ   影=か

 下から読むと「かろたたし」「貨賂糾し」。貨賂は賄賂のことです。

【藤原 顕輔】讒言により白河院の勘気を蒙って昇殿を止められたが、白河院崩御の翌年関白藤原忠通の娘聖子が崇徳天皇の中宮に冊立されると、中宮亮となり官界に復帰。


  秋風に      秋風=北風
  たなびく雲の   雲=天
  絶え間より    絶間=晴る=春=東
  もれ出づる月の  月=秋=西
  影のさやけさ   影が爽やか=夏=南
 
 天東西南北が詠み込まれ、言い訳も用意。グッジョブ!!

 

by ukiyo-wasure | 2017-05-01 10:36 | 詩・文芸 | Comments(0)
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