「神」という言葉はものすごく曖昧で「哲学」とか「芸術」などという言葉とおんなじで、しゃべっている相手と「認識」が一致しないとトンチンカンなことになる。けれども、その曖昧さがまた「インチキ」を通すときに便利なこともあるのだなあと思ったり。
テレビに出てくる霊能力者が、大病をした際に仏教のナントカ明王が現れて〜と言ったと思ったら「神様」がとかなんとか。仏教に「神」は存在しないから、こいつはインチキ!と判断しておりました。開運グッズを売る程度はご商売ですからいいのですが、不治の病につけこんで大金をお布施として巻き上げるのは犯罪でしょう。 ところがね、「源氏物語」を読んでいると、すでに平安時代に仏教とその他の神々がゴチャゴチャだったと分かります。今は天皇家=神道の総本山みたいなことになっていますが、平安時代は帝も仏教に帰依していた。絶望すると「尼」になったりね。それで、阿闍梨という位の高い僧が、物の怪退散のお経を読んだりもする。一方でちゃんと宮廷の儀式はあるのですよ。あと「物忌み」という面倒な「占い」に頼った行動などね。 キリスト教やイスラム教は、神に命を捧げるというくらいの信仰心があるようですが、日本人の多くにとって、神や仏は「役に立つかどうか」で価値が決まる気がする。ご利益ないから捨てちゃおう…ってなもんで。見返りを期待するところが、ずうずうしいというか、ちゃかりというか、何なんでしょうね。
by ukiyo-wasure
| 2016-11-22 12:58
| 詩・文芸
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